そこは暗闇の中だった。
目覚めた僕は君を探した。
何も見えない。
温もりを求めた手は空を切り、虚しく彷徨う。
ここはどこだろう、君はどこだろう。
漠然とした不安だけがつのる。
ふわふわと目眩がした。
不安をかき消すように、地面を踏みしめると真っ暗な世界に平衡感覚が戻ってくる。
いっぽ。また一歩。足を運ぶとかすかに手の輪郭が浮き出た。
深夜、灯りの無い一人部屋。ふと目を覚ますと、月明かりがカーテンを透かして部屋をぼんやり映し出した。
そんな明るさになった。
目が僕自身をくっきり映し出す。
それでもここには地面の他に何も無かった。
君もいない。
手の先から心臓へ。血液のすべてが冷えていく。そんな感覚が脳みそまでも支配していく。
不安。焦燥。恐怖。畏れ。
「どうしたらいいの?」
絞り出した声は震えていた。
応えの無い問いかけだけを心の頼りに目的もない歩みを進める。
まだ希望も絶望も見えないまま。
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